出たとこ勝負!

2万円握りしめて超三アンプを作る!

このページに書いてある内容を試してみようという方は、必ず宇多さんのページにある超三結概要をご覧く ださい。余力があれば「超三 極管接続回路方式によるアンプの実装法考察」を読んでください。



なんとこのアンプが「手作りアンプの会夏休みコンサート・小型MT管の部」で一等賞を獲得!!
詳細はこ ちら

 このページを見て実際にアンプ作りに挑まれた皆さん、本当にありがとうございます。よく考えたら2万円なんていうお金をこんな得体の知れないペー ジにつぎ込んでくださった皆さんはなんと勇気のある人たちなのでしょう。最近はトランス屋さんで真空管アンプというだけでこのページで使ったトランスの セットを黙って出してくれるらしいです。そんな多くの方々が、果たして満足を得るだけの結果を得てもらえたのか心配ですが、このページにももっと磨きをか けてお礼に代えさせていただきたいと思います。

 まあとにかく真空管アンプを作るのは楽しい。部品がでかいから半田付けもラクだし、大雑把に作っても音が出ますし、みかけによらず丈夫なんで半導 体みたいに配線に失敗しても『部品を飛ばしちゃった〜』などということもめったにありません。そのうえ光るから見てて面白いし、冬場は部屋が暖まる、叩くとスピーカーから音がする....などなど、楽しいことがいっぱい。

  こう書くといいことずくめのようですが、高い電圧を使うことが多いので(そうでない場合もありますが)、感電の危険性が高いなど、気楽には行か ない面もあります。ほかにもガタイが大きい割りに大出力を得るのが大変、とか省エネに反するとかいろいろありますが、一番高いと思われているハードルはカネがかかるということではないでしょうか。

なんで2万円

 工芸品のような出力管、電源トランスに出力トランス、高電圧に耐えられる部品、これらの重い部品を支えるシャーシ.....。真空管アンプが高く なるのも当然。だからハイエンドオーディオ雑誌なんか2桁ぐらい間違えてるとしか思えない値段が当たり前みたいに書いてあっても、オーディオショップの店 員が客を値踏みするような態度をとるのもまあしかたないのかななどと思っちゃうわけですが、それはたぶん違うと思う

 たしかにICアンプみたいに数百円で作るのは絶対に無理です。しかしねー、だか らって別に何10万もかける必要はないんですよ。


 そんじゃあいくらならできるかというのを突き詰めてみたのがこのページです。見た目とか部品のグレードにはそれほどこだわらず、満足のいく結果を目指し たらこの値段になりました。 この値段には必要なすべての部品代のみならず、外装品や送料、振り込み手数料まで含まれています。ですからジャンク箱に幾許かの部品をお持ちだったり、身 近に部品を手に入れられる店がある(ジャンク屋もあるなら大吉)場合などはこの半分ぐらいでできると思います。こちらで 紹介した『柿の種』は1万円足らずでできました。

 超三アンプは並の部品とシンプルな回路で次元の違う音を奏でてくれます。
 なぜか巷間には「音の良い」といわれる(法外に高い)部品を組み合わせなければ音の良いアンプができないという神話があるようです。しかしわたしのペー ジでも紹介したように、超三極管接続(以下超三)はこうした神話を気持ちよいほどあっさりと打ち砕いてくれます。
  

このページでは以下の二つを目標にしています。
 

ほとんど経験のない人でもコピーではないアンプが作れる。

「おんなじものを作ってもキットとたいして変りない。でも一から設計してもちゃんと鳴るかどうか不安」という人は、是非このページをご覧下さ い。できあ がったものではなく、作っていく過程を重点的に記録していきます。
 最終的には実体配線図なども作る予定ですが、自作歴も浅く、知識も少ないわたしの実装法など、真似する価値は全くありません(む しろ有害)。 真似をするのは「魅惑の真空管アンプ」とかそういうのにしましょう。
 できあがった超三アンプは、おそらく高級機に負けない音質で鳴ってくれます。
 
 

部品は通販で手に入れる

自作がずっと身近で電化製品は修理をして使い続けることが当たり前だった時代、自作や保守のための部品を扱う店はどこにでもあったそうです。しかし現在、 そのころに比べて遥かにモノがあふれ返っているにもかかわらず、こうした部品は大都市でなければ手にはいらなくなってしまいました。

 雑誌やWebページで製作例を見ても、部品の入手方法がわからず涙をのんだことがある方は多いのではないでしょうか。

わたしは名古屋市に住んでいます。いわゆる「電気街」はありますが、必要な部品をすべて手にいれることはできません。本来なら店の主人にいろいろ教 えてもらったり、客同士で情報交換をしたりというのがとても大切だと思うんですが、これは今やかなわぬ夢でしかありません。それなら、と腹をくくって今回 は部品をすべて通販で手にいれることを目標にしました。これならどこにいても自作ができます。
 
注意!!: 真空管アンプは高圧電流を扱います。高熱を発する部品もあれば、火 を噴くことも稀ならずあります。読者がここに記載された情報を実際に運用した際に発生した事故、傷害、損害等をに関して、 著者は一 切の責任を負いません。 読者の自己責任で利用してください。 適切な対策を講じて、事故のないよう十分配慮して下さい
 
 


 

1.設計(というほどのものでもない)

 回路だけでなくシャーシの加工から実装法まで完璧に計画しておいて、必要な部品をリストアップし、そろったところで一気に造り上げる手もありますが、完 璧にしたつもりでも抜けているところがあるのが常です。ここでは少しづつ部品を調達しながら、組み上げていくことにしましょう。

 とはいえ細かな部品をいちいち通販で注文していたのでは送料や振込手数料もばかになりませんので、ひとつの店で調達できるものはできるだけまとめ て注文するようにします。

 まず回路形式は超三極管接続シングル。これは決定です。ということでつぎに出力管を決めます。あまり大掛かりにならないように、今回はMT管を使 用することにします。2万円以内という予算で考えると、出力管はできるだけ安く上げたいところ。そこでとある真空管の販売店のリストから1本1000円以 下のMT出力管を挙げてみましょう。
 
 
6BQ5/EL84 五極管 \1,300 /pair
6AQ5 ビーム管 \1600 /pair
6BM8 三極五極複合管 \1600 /pair

6BQ5はオーディオ管として非常に評価の高い球です。6AQ5は初登場から70年にもなる名球6V6のMT管版です。いずれも一度は作ってみたい 球ですが、MT管という形態が災いしてか、あまり人気があるとはいえません。

 6BM8にいたってはさらに軽く見られ勝ちです。現在では廉価な真空管アンプキットに使われることが多く、入門用のおもちゃぐらいにしか見られて いないようです。

超三極管接続では、出力管のほかに、少なくとも初段管(電圧増幅用五極管またはFET)と電圧帰還管(三極管)が必要です。6BM8は出力用の五極 管と三極管が一緒になってますので、あとは初段管さえ用意すれば良いことになります。今回は予算も限られているので、6BM8超三シングルとします。

 回路は高橋さんのページにある1号機を使わせてもらうことにしましょう。初段は真空管で、と行きたいところですが、今回はまず第一段階として FETとのハイブリッドにします。ただし後々改造できる余地は残しておくことにしましょう。出力トランスは手作り真空管アンプの会推奨の東栄変成器製 850円を二段重ねにして、両チャンネルで計4器 使用します。
 
 

2.部品を注文する(その1)

 まずは真空管とトランスから注文します。というのも、これらが完成したアンプの外観や大きさを決定することになるからです。それに「真空管アンプ」なる ものを作りたいと思われる方なら、真空管を最初に手にしたくなるでしょ。

 真空管は今回はクラシックコンポーネンツに注文し ました。真空管といっしょにソケットも買っておくことを忘れないでください。ソケットにはシャーシの上からつけるものと下からつけるものがあります。下か らつけるタイプはシャーシにきれいで大きな穴を開けないといけないので、上付にしました。あけた穴をソケットが覆うようなかっこうになるので、見た目も美 しくなりそうです。
 クラシックコンポーネンツはメールで注文できます。お値段は以下の通り。
  (2003年8月30日現在、クラシックコンポーネ ンツではSOVTEK製が1800円/ペア、Tube 商会ではSOVTEK製が1100円/1本でした)
 
 
出力管 6BM8 National (Russia) 1 \1600 /pair
ソケット MT9ピン上付き
2 \360 







小計
\2320


送料
\1000


消費税
\166


合計
\3486
 

名古屋大須の「小 坂井電子」や秋葉原のアンディクスオーディオ、徳島のフロービスでは上記の値段よりもう少し安 かったと思います。調べてみてください。
 
  

トランスはもちろん東栄変成器製 です。
トランスはファックスで注文します。代引きで送ってくれます。出力トランスは二段重ねにするので計4個、電源はB電源(出力管のプレートにかける高電圧) 用とヒーター用のトランスを注文します。お値段は以下のようになりました。
 
 
電源トランス B電源用 ZT 03ES 1 \2000
      ヒーター用 J-633 1 \970
出力トランス T-850-7 4 \850





小計
\6370

送料
\1300

消費税
\383

合計
\8053



 いずれの販売店もこのホームページとは直接関係はありませんので、このページの内容についてお店に問い合わせないでくださいね。

質問は必ずこちらへ     

現在の残金: \20,000-\11,153=\8,461
 

3.部品が届いた!

 翌日か翌々日には部品が手元に届きます。こんな小さなトランスでだいじょうぶだろうかという心配はご無用です。

  真空管をはじめてみるという方はまず手にとってよくご覧下さい。真空管って美しいで しょ? こんな小さな管に三極管と五極管の二つのユニットが詰め込まれています。大型の純オーディオ管もいいですが、これも小さいながらなかなか魅力的で す。



大きさを比較できるように、CDのケースといっしょに並べてみました。上の4つが出力トランス、下の右側がB電源用、左がヒーター用の電源トランスです。


 

大きさを比較できるように、CDのケースといっしょに並べてみました。上の4つが出力トランス、下の右側がB電源用、左がヒーター用の電源トランスです。


届いた部品をいろいろならべかえてみて、最終的な部品配置、シャーシの大きさなどを決めます。真空管アンプというと巨大なトランス類が シャーシ上に林立していることが多いのですが、今回のトランスはケースにおさまってないので感電[の危険性がありますし、見た目もあんまりカッコよくない ので、シャーシの中に入れてしまうことにしました。

 トランスには漏洩磁束というものがあるので、配置には多少気を使う必要があります。今回はだいたいこんな感じで並べてみました。多少 余裕をもって置いても高さはCDケース一枚分、底面積もCDケース2枚分くらいで行けそうです。
 



4.シャーシを探しに行くのだ!!

 シャーシは空き缶でもくず入れでも植木鉢でも何でもかまいません.。専用品を通販で買ってもいいんですが、値段も高いし、愛着が湧くか否かにかかわる大 切な要素ですから、できれば実際に手にして探してみたいものです。「柿の種」の缶は底面が1 辺約170mmの正方形、高さが110mmです。この大きさで真空管以外の部品をなんとか中に組み込むことができます。出力トランスを縦積みではなく横並 びにすれば、底面積がもう少し必要になりますが、高さは電源トランスの高さ分(60mmから70mm)程度で済みます。配線が込み入らないように少し大き めのものを選んだ方がよいでしょう。

ある程度の強度はもちろん必要ですが、トランスを上に載っけないような配置にしてるので、あまりつぶれる心配はありません。それよりも加工が容易な ことが大事なポイントです。ブリキの缶ならOKですが、それ以上厚い鉄板だとちょっと面倒です。もっとも今回の作例では真空管のソケットの取り付け用の丸 穴が一番大きい穴で、角穴はありません。直径18mmまでの丸穴が空けられるめどさえ立てば、なんとかなるでしょう。

 真空管は当然シャーシ上に並べます。どう並べると美しいかというのも思案のしどころです。配線のしやすさ云々は後からまた考えましょう。ただし互 いに干渉しないように真空管どうしをあまり近づけすぎないこと。また真空管はかなり高温になりますから、熱の影響を受けやすい部品(プラスチック製の端子 など)からは離す必要があります。

上記の大きさを頭にいれ、物差しとCDケースを持って家のなかを探しまわりましょう。もちろん簡単に燃えたり融けたりするような材質じゃだめです よ。見つからなければ町に出ましょう。ホームセンターに行っても、求めるものがDIYコーナーにあるとは限りません。台所用品などにあなたのハートを熱く するような逸材が転がっているかも知れません。お菓子やさん、薬局、は たまた職場や学校、果てはゴミ捨て場など、今まで何気なく見過ごしていたものが思わぬ輝きを持ってあなたの目に飛込んでくるかも知れません。
 

 部品類の固定にはネジが必要です。これはどこでも手に入りやすいでしょう。ソケットなどの固定用に3mm、トランスの固定用に4mmの2種類があ れば十分です。 ホームセンターに行ったついでに買ってきましょう。ドリルを持っていないならこの機会に買っておきましょう。手回しので十分です(私も手回ししかもってま せん)。それと真空管の取り付けに少し大きめの穴をあける必要があるので、シャーシパンチ、なければ大きめのリーマーをそろえておいてください。

 それでは、わたしも今回の製作用のシャーシを探しにいってきます。見つかったらまた続きを掲載します。
 
 

5.シャーシが見つかった

意外とあっさり見つかりました。無印良品で見つけたトタン製のケース。900円也。写真では大きさがわかりにくいかな。190*140*120mmという 大きさです。両側に取っ手がついているのがヨイ。取っ手を生かすために横型配置にすることにします。


トランス類は図のような感じで納めることにします。後々のメンテナンスを容易にするため、本体側に電源部、蓋側に増幅部を実装することにします。出 力トランスは蓋に吊り下げられることになります。

現在の残金:
\8,461-\945=\7,516


6.再び部品を注文するのだ

 送料も振り込み手数料も惜しいので、できれば部品を一括で注文したいところ。しかしインターネットで見つけたパーツ屋さんに見積もりを頼んで も、なしのつぶてか、「人手が足りないので細かいお見積もりにはお答えできません」とのつれない返事。

 そこで手作りアンプの会の重鎮、田村さんのおはからいで「部品屋さん情報」でもおな じみのサトー電気さんにお願いすることにしました。送金は現金書留で、以下の注文書をワープロなどにコピーして印刷してお使いください(10ptでだいたい A4におさまると思います)。
 注意!!

 以下の注文票の内容について、サトー電気さんには絶対に質問しないでください。
 
 こういうものすごく面倒で神経を使う割に利益のでない注文を受け付けてくださるだけでもありがたいのに、この上質問でお手を煩わせては、私は
申し訳なさのあまりて悶死してしまいそうです。
質問は必ずこちらへ     

 


部品表を一部変更いたしました!
出力段のカソード抵抗はやはり5Wのセメント抵抗が必要です。

20オームの抵抗は発振予防用です。普通は必要ありませんが念のために注文しておきます


コンデンサに予想以上にかかってしまいました。大容量のコンデンサはあんまりメーカーが作ってくれていないそうです。
当初は220uFを使う予定でしたが、正規品だと1本1500円もするのであきらめました。

 供給が安定していないのでここでは採用しませんでしたが、破格の値段ジャンク品を手に入れることも可能です。
電源用のコンデンサは必ずしも部品表どおりの容量でなくても結構です。但し耐圧は300V以上のものにしてください。
 (ネット上でもジャンクの電解コンデンサを扱っている店はあります。探してみてください)


 

                
             部品注文 

 
サトー電気 通販担当者様 

 以下の部品を注文します。 

 どうかよろしくお願いいたします 

    
   氏名 
          
   住所 〒 
 

   電話: 
 
 

       部品名             個数    単価(円)  値段(円)

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FET       2SK30A(Y)     4     @30     120
8ビンICソケット               1     @60      60
ダイオード    1NU41         10     @30     300
セメント抵抗   47Ω            2     @60     120
         1KΩ            2     @60     120

カーボン抵抗   1MΩ1/2W        2     @10      20
           7.5KΩ1/2W    2     @10      20
           100Ω1/2W     2     @10      20
           20Ω1/2W      2     @10      20
電解コンデンサ  100uF/450V     5     @780   3900
           220uF/100V   2     @250    500

           47uF/16V     2     @25      50
セラミックコンデンサ 47pF/50V     2     @10      20
VR    5K半固定コパル10CT6      2     @80     160
      50KA一般            2     @120    240
トグルスイッチ ミヤマ3PMS500A      1     @160    160
ヒューズホルダ(ミゼット)            1     @100    100
ヒューズ(ミゼット) 250V2A       1     @50      50
RCAターミナル 赤              1     @60      60
             白          1     @60      60
ジョンソンターミナル  赤           2     @90     180
              黒         2     @90     180
VRつまみ BM20ローレット         2     @70     140
ACコード(P付き)              1     @120    120
ACコード用ゴムブッシュ            1     @10      10
ユニバーサル基板ICB88           1     @100    100
配線材0.3mm2 2m × 10       1     @350    350
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小計                                 ¥7,170−
消費税                                  ¥358−
送料                                 ¥1,200−
合計                                 ¥8,728−

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現金書留に510円かかりました。合計¥9,238。

¥7,516−¥9,868=−¥1,722

......ごめんなさい。赤が出てしまいました。


部品が手に入らない場合(2002年11月23日追加) 

手持ちの部品がある場合、または近所の部品屋で調達する場合、中には手に入りにくい部品もあると思います。端子やスイッチ類はここに書いてあるもの と同じものでなくても、代わりになるものが手に入るでしょう。電源部の電解コンデンサは耐圧・容量ともここに書いてある ものより大きい分には問題ありません。どうしても耐圧の低いコンデンサしか手に入らない場合は、ここの回路図にあるとお り、コンデンサを直列にしてください(容量は半分になります)。回路図のように並列に抵抗を入れるのを忘れないようにしてくださいね。そうしないと直列の 一方に過大な電圧がかかってしまい、破裂する場合があります

FETはないと困りますが、GRクラスならあるけどどうしてもYクラスが手に入らないということがありるでしょう。GRですと電流が流れすぎますん で、ここでつかった半固定抵抗の調整範囲では適切な電圧にできない場合があります。こんなときは6BM8の三極部のカソード抵抗を3割ぐらい小さくする か、半固定抵抗と並列に3.3kΩ程度の抵抗を挿入してください。(これは手作りアンプの会小川さんからのアドバイスです)

 FETのソケットは最後にうまく鳴らなかったとき、原因検索をするのに役立つ場合があります(どうしても音が出ないとき、FETを換えたら直った ということは結構あります)。でもどうしても必要というわけではありませんから、ない場合はFETを直に基板にはんだ付けしてください。


さて、部品が来るまでのあいだ、デザインでも考えましょうか。

 前述しましたとおり、今回のアンプはトランスをシャーシに押し込んでしまいました。まず、真空管を2本立てると、

 うーん、どっかで見たことあるような。これでは正太郎君のリモコンで すね。 

 上面には真空管のほかにボリュームつまみ、RCAターミナル、ジョンソンターミナルが付きます。これらでだいぶ印象は変わりそうです。また後々初段を真 空管にできるように、スペースに余裕を持たせましょう。

 出力管の手前に入力ターミナルとメインボリューム、その裏側に初段の基板を配置して、これらの間をできる限り短い距離でつなぎます。シールド線は使いま せん(このあたりは音の良いアンプを作っていらっしゃるベテランの方から以前教わったことの受け売りです)。





 
突然ですが、ここでお便りコー ナー 

このページの読者の方からメールをいただきました。その方、このまだできかけのこのページに書いてある通りに部品を購入されているとの こと。いやー責任感じちゃいました。あ、いや、このページをちゃんと読んでくれてる奇特な方がいるなんて、想像もしてなかったんですよ。書いてる私は筋金 入りの初心者だし、雑だし不親切だし、間違いもいっぱいあるし。 

 昔、あるコンピュータ雑誌(今はありません。編集長はいまだ行方不明.....)に台湾製のPDAの紹介記事を書いたこと があるんですけど、その記事、読者アンケートで上位になってました。だって日本で売ってない上に中国語しか使えない機械ですよ。世の中には奇特な人がい る。それも結構たくさん。今回のことでその思いを新たにしましたね。 




7.部品が来た!

部品来ました。あとは組み立てるだけです。電源部のコンデンサはとりあえず100uF5本にしました。
しかし本業が年度末でおおわらわ。確定申告もあるし。すいませんまた更新が遅くなるかもしれません。

こんな感じでセットにしてくださいました。サトー電気さん、ありがとう。
       


 こんな感じで部品配置することにします。

 当然基板は裏側に置くので、ここの部分はのっぺりとしてしまいます。後々ここに初段管を配置するため、とはいえちょっとさみしいですね。何か飾りを探し ておきましょう。

RCAターミナルはこの写真では上面に配置していますが、プラグを差し込むとケーブルが邪魔になりそうです。蓋の側面につけてもいいでしょう。


トランス類はとりあえずこんな配置で。真ん中を空けたのはこのあたりに初段の基板が来るから。できる限り電源トランスの磁束の影響を 受けないように配慮した、つもりです。あとで必要に応じて変更できるように、電源トランスの固定は最後にします。

 出力トランスは当初蓋に固定する予定でしたが、蓋を重くするとメンテがしにくくなるので、底面に固定します。

立ラグなど、部品類を固定するものを一切部品表に含んでいないことにたった今気がつ きました。全部空中配線にするのは厳しいでしょうね。また課題が増えてしまいました。
 しかし意地でも上記であげた部品以外は使いたくない(ネジ類を除く)。ではどうするか.....。苦肉の策が一つ。しかし危険がつきまといそう。

さて、次回からはいよいよ穴あけ。今年度中にできるんだろうか.......。

2000年3月6日

8.やっぱり回路図

 初心者のくせに回路図を書かずに組み立てるというナマイキな習慣がついてしまった、と前にもどこかに書きましたが、今回は作り方を見せるものです から、作る前にちゃんと描きましょう。だいたいこんな感じです。



 回路図の部品は宇多さんの回路図から借用しています。いつもながら宇多さん、ありがとうございます。
上半分が蓋、下半分が缶の身の部分になります。
相変わらず無理のある回路図ですな。回路と部品配置を無理に同居させようとするとこうなります。とはいえ実際にはこんなに取りまわし長くしませんから心配 しないでください。
なおこの回路図どおりに作りますと、抵抗とFETと整流ダイオードが余ります。FETとダイオードは配線ミスでうっかり飛ばしてしまうことがあるので、そ の予備用です。組みあがって通電してみたけど鳴らない、各部の電圧は正常だというときFETが飛んでるかも知れないので、差し替えてみるといいでしょう (このあたりは後述します))。

9.穴あけしますか

 せっかくだから今日はもうちょっと進めましょう。


4つある出力トランスのうち二つの足を、
写真のように折りげ、これと曲げてないやつと
をエポキシ系接着剤でくっつけます。ほれ、
こんな具合
一次側はパラにするので、こんな感じで結線します。今回はストッピングダイオードをトランスの端子にはんだ付けしました。ぶらぶらで おっかないです。
2次側はこんな感じになります。
直列になっているのがわかりますか?


シャーシにはこんなふうに穴を空けてみました。シャーシパンチを使ったので切り口は結構きれいですが、どっちにしろ上付きのソケット で塞がっちゃうので、シャーシパンチをお持ちでない方はリーマーでごりごり開けても大丈夫。リーマーならホームセンターにも売ってますしね。 ソケッ ト穴の位置は下のトランスと干渉しないように写真のようにして決めました。


ついでにVRとRCAジャックも取り付けちゃいました。けっきょく横向きにつけたので、身の方に切り欠きをつけてやる必要がありま す。ここではドリルで穴を空けてペンチで曲げました。美しくないです。


RCAジャックとVRは写真のように取り付けました。最短距離に、ということでくっつけちゃいました。










こんなふうになる予定

2000年3月18日

10.初段組んじゃおう

 作り始めると勢いがつきます。制作記を作るつもりがないなら一晩でしあげてしまうのですが、今日は初段だけにしておきましょう。

 前述したとおりラグ板とか注文してません。幸い初段には手に入れた基板の半分もあれば十分です。残り半分は電源部かどっかに使いましょう。
 基板の切り方ですがこんな感じでOK。

二つに分けたいところをニッパーで軽く挟むとプチっという感じで真っ二つになります。今まで失敗したことはありませんが、もしかして 変な割れ方しちゃったらごめんなさい。

 こっから先はねー、できれば見せたくないの。だってカッコ悪いもん。
 とはいえ最初のお約束なので、お見せします。初段基板はこんな感じで組んでみました
ICソケットも二つに割りました。真ん中にアースラインが通ってます。

こんな感じでしょうか。赤線で配線を示しました。見にくくてごめんなさい。真ん中にアースを通しています。

うす緑色の丸のところには、基板の表側からアクセスできるようにピンを立ててます。ピンといってもこれも抵抗やコンデンサにつながってた線の切れっ端で す。真ん中はアースラインの出入り口。左右に分かれているうち上の方が入力、下が初段の出口です。

初段と入力、VRをつないでしまいました。黒いリード線を使ってしまったのでわかりにくくなってしまいましたが、RCAコネクタと VRの一番手前の端子、基板のアースピンがつながっています。

 お気づきのことと思いますが、このようにつなぐと左右でVRの回転方向が逆になります。 今回使用したVRはAカーブなので、これでも大丈夫です。もしBカーブのVRを使われる方、あるいは回転方向が逆なのはどうしても気に食わないという方は 適宜工夫してください。


 ふう。ここまで来るとだいぶアラも見えてきますね。製作過程を人に見せるのはわたしのよ うなものにはちょっと荷が重い。

11.出力段の製作

勢いに乗って出力段も行っちゃいましょう。出力管周りの配線の計画を立てます。

左上が1番ピンで、時計周りに9番まであります回路図に従えば写真のように3番と8番の間、および1番と8番の間を抵抗でつなぎま す。5極管のカソード(Kp)からはパスコンとカソード抵抗を経てアースに落ちます。


入出力端子と真空管ソケットはこんな感じで装着しました。特に意味があるわけではありません。出力端子はちょっと出力管に近すぎたか なと、今となっては後悔してます。
まだ部品をはんだ付けする前の状態です。まったく芸のないことに、回路図どおりの配置になっています。電源部がまだできていないの で、B電源とヒーターの配線はまだです(この時点で電源部を先にやっておくんだったと後悔)。
写真では出力段のカソード抵抗が3Wの酸金ですが、これでは定格外です。ここは5Wのセメントにしてください。




これはプレート、スクリーングリッド、ヒーターの結線も終えた後の写真です。意地でも部品表以外の部品を使わなかった結果、ダイオードはぶらぶらの状態で どこにも固定されてません。怖いですね。

 黒いビニール線はアース線です。電源部のアースにつながります。


12.電源部の製作

本当は電源部から作るほうがいいでしょう。アンプ部だけ先にできちゃっても動作確認ができませんから。

電源ケーブルとヒューズホルダ、電源スイッチは正面向かって左側にこんな感じで取り付けました。何も考えずにやったのでヒータートラ ンスが少し真ん中に追いやられました。位置合わせが終わったらトランス固定用の穴を開けます。
ACケーブルを電源トランスおよびヒータートランスの一次側につなぎます。いずれも0Vと書いてあるところと100Vと書いてあると ころです。

 白とオレンジ色のビニール線(別に色はなんでも結構ですが)を左の写真のような長さに切って撚り合わせます。これを二組作り、ヒータートランスの二次側 に同色どうしが一緒になるようにつなぎます。ヒーター配線はアンプ部の写真を参照してください。
ヒータートランスの二次側のタップ付近を拡大したところです。0Vと6.3Vの二つのタップにそれぞれ2本ずつビニール線がはんだ付 けされているのがわかると思います。それぞれ左右のチャンネルのヒーターにつながります。



整流基板です。初段基板の残り半分を
使って作りました。
熱が出るところなのでかなりこころもと
ないのですが...。

写真がピンぼけですが、
だいたい上のような配置です。
放熱のため、特に上下に重なる部分は間に空間ができるように配置します。どこにどう線をつなぐかは、回路図をじっとにらんで考えてみてください。


電源部のコンデンサは、これもラグとか基板がないので、こんなふうに束ねてしまいました。真ん中にアースを通しています。向かって右 から整流基板からの入力を1個で受け、2段目以降はパラにしています。抵抗は47Ωのセメント抵抗です。アース線はは電源トランスのアース端子から整流基 板のアースを経て写真の左側に入り、右側は出力段のアースにつながります。配線方法は右の図を参照してください。
部品の固定前に、おおざっぱに並べてみました。




ふう、後半は随分端折ってしまいましたが、とりあえずこの状態でアップします。もうちょっと詳しい解説はおいおい書き足すことにいたしましょう。完成図は こんな感じです。

調整方法ですが、ふたを開け、初段のカソード抵抗を絞った状態から徐々にまわしていくと、 ぐじゅぐじゅと鼻の詰まったような音から突然すっきりと鼻が通ったような音に変わります。これを左右チャンネルで行えばOK。詳しくは宇多さんのページを 参照してくださいね。

聴感上は非常に満足の行くレベルです。柿の種よりも音に重厚さがあるように思えま す。

 一応は部品表にある部品だけでできましたが、立ラグかもう一枚穴あき基板があった方が良かったような気もします。

13.正しい自慢のしかた

 さて、アンプができました。ほれぼれするようなチー プな作りですね。そう。正しい自慢のためには、見た目はチープなほど良いでしょう。

 身近にオーディオマニアみたいな人がいると自慢のし甲斐があります。特に家に招待してくれて自慢のオーディオセットの値段と、何がどう違うのかを解説し てくれる(そのうえ何度聴いてもその違いがあなたにはさっぱり分からない)ような人だと最 高です。でもその人が会社の上司だったりお得意さ んだったりあなたによく食事をおごってくれるような人だったら止め ましょう。

 相手のアンプが数十万クラスの直熱三極管シングルアンプとかなら、楽勝か、結構いい勝負になるでしょう。相手のアンプの出力が大きい場合でも、オーケス トラとかの音の厚いソースを選ばなければ相手をうならせることができると思います。

 まあ勝負に勝つことが目的ではないですから、ほどほどにね。まずはあなたがこの音を聞いて驚嘆してください。

 わたしはギターやマンドリンなど、アコースティックの撥弦楽器が好きなのですが、この手の楽器との相性は最高だと思います。


14.ウチのアンプ、なんかヘン

アンプは問題なく鳴ってくれましたか? 一発目に鳴らなくてもがっかりしないで、以下のことをチェックしてみましょう。

片チャンネル/両チャンネルからまったく音がしない場合

初段の半固定VRを回してもまったく音がしないとき、以下のことを確認しましょう。

1. まずは目で見てわかるところから。

  変な臭いは出てませんか?

 どこかがショートしていたりして過大な電流が流れていたり、本来かかるはずのないところに高圧がかかっていたりすると部品がダメージを受けます。初段に 使っているFETなどは音もなく静かに逝ってしまうのでわかりませんが、抵抗や電解コンデンサ、トランスなどは煙や臭いが出るのでわかります。不穏な様子 があったらすぐコンセントを引き抜いてください。またコンデンサなどは爆発することもあるので、くれぐれも顔を近 づけたり覗き込んだりしないこと!

 真空管はオレンジ色に光っていますか? 

  冒頭の写真のように赤々とはなりませんが、上や下から管の上下で光が出ているのがわかると思います。またしばらくすると管が手で持てないほど熱 くなるはずです。そのいずれでもない場合、ヒーター回路がどっかで切れてますね。上の回路図にはヒーター回りの回路は描かれていませんが、ちゃんとつない でありますか? ヒーター回路は他の回路と独立した単純な回路なんで、たどりやすいと思います。まずヒータートランスの0と6.3Vのあいだにちゃんと電 圧が出ているかテスターで確かめましょう。ここで電圧が出ていなければトランスか一次側の配線に問題があります。いちばんありがちなのが、ヒューズが入ってない 場合です。あ、そこの方、笑う前にまずヒューズホルダーの中身を見てくださ い。わたしはいまだにこれをよくやります。
 ヒューズが入っていても、断線している場合があります。一見切れているように見えなくても金属端子の下で断線していることがあり、これはテスターであ たってみないとわかりません。 
 さて、これでヒーターは点灯しましたね。でもまだ音が出ない。ならば次。

2.つづいてはテスターの登場

回路図に示した箇所で電圧を測ってみてください。大体この前後ぐらいならOK。しかし極端に電圧が低かったり高かったりしたら以下のことをチェックしてみ てください。では電源部の出口から見ていきましょう。

ヒーターが点灯しているなら少なくともトランスの前までは大丈夫。テスターの交流レンジでトランスの出口(0Vと200Vの各端子)を当たって200V以 上の値を示せばトランスまでは大丈夫。
今度はテスターを直流レンジにして、黒いテストリードをシャーシの1箇所にみの虫クリップでとめ、赤いほうで各部をあたっていきます。

  アースラインはつながってる?

 これで電源部出口の電解コンデンサ付近をあたってみてください。220Vぐらいになっていますか?220Vよりも極端にに低い場合、まずアースが途中で 切れずにシャーシに落ちているかを確認しましょう。電源の出口からシャーシまでアースラインを目で追ってください。どこも切れていないようなら回路図の太 線のうちのどこか別のところにみの虫クリップを移しても電源部の出口に電圧が出ないなら、次に進みましょう。

  整流回路は大丈夫?
  
 アースラインに異常がなさそうで、電源部出口の電圧が220Vよりも極端にに低い場合、電源回路に異常が在りそうです。整流ダイオードの接続方法は間 違ってませんか? 回路図をよーく見てくださいね。整流ダイオードとトランスの間の配線のハンダ付けも確認してください。
 220Vよりもだいぶ高いとき、アンプ回路のどこかで回路が切れている可能性があります。アースラインやソケット回りを確認して、ハンダのし忘れ、いも ハンダやてんぷらハンダがないか確かめましょう。
 だいたい220V前後のとき、次に進みましょう。

  トランスまわりは大丈夫?

 出力管のプレートの電圧を測ってみましょう。電圧が極端に低いときトランスの一次側の配線がうまくいってない可能 性が高いです。電源からトランスの一次側、そこから真空管ソケットへの配線のはんだ付けがちゃんとできているか確認しましょう。トランスは大きな金属の塊 なんで熱が逃げやすく、20Wぐらいの半田ごてだとつけたつもりなのにハンダが上に載っかてるだけ(てんぷらハンダ)、なんてこともあります。
このときついでにトランスの二次側から出力端子への配線も見ておきましょう。出力端子も熱容量が大きいので、ハンダがうまくついてないことがあります。ま たトランスの二次側の端子は孔が大きいのでハンダは流れてるけど線がつながってないなんてこともあります。よーく目を凝らしてみてみましょう。

3.出力段はちゃんと動作しているでしょうか


真空管の動作の仕組みに立ち返って考えれば、1)カソードがヒーターで温められていて、2)プレートに適切な電圧がかけられていて、3)プレートカソード 間が閉回路になっていれば、一応の動作はするはずです。細かいところを抜きにして出力段を模式的にあらわすとこんな感じ(ヒーター回路は省いてありま す)。

一応こんな具合で回路が成立しているなら、Rp(出力段ではトランスの一次側巻線)の両端に入力信号が増幅されて出てくるはずです。 うまくいかないのはこのうちどこかが図のとおりになっていないからです。

 

 まずアースがちゃんと通っているか確かめましょう。アースは電源部のコンデンサから出て入力端子近くでシャーシに落とすんでしたよね。まずこれが ちゃんとできているかどうか目で確認してください。そして出力段のカソード抵抗の他端がしっかりとアースに落ちているかも確かめましょう。ありがちなこと として一見つながっているようでもじつ
ははんだが乗っかってるだけ、なんてことがあります。いわゆる天ぷらハンダです。

次にプレートに適切な電圧がかかっているか調べてみましょう。アースラインのどこかかシャーシとテスターの黒棒をみのむしクリップでつなぎ、各部の電圧を 測ってみます。
 プレートはこのアンプでは200数十ボルトになるはずです。またカソードは初段のカソードの可変抵抗によって変わりますが50V前後というところでしょ う。

3.初段は大丈夫?

球(真空管)に比べると石(半導体)は弱いので、気づかぬうちに「飛んじゃってる」ことがあります。おまけに外から見てもわからないから始末が悪い。幸い 今回の製作では初段の石をソケットに入れているので、予備の石(このために部品表の数量が4個になっておるのですよ)に差し替えてみましょう。ただしこれ を試すのは必ず配線ミスがないことを再度確認し、各部の電圧が正常であることを確認してからに してください。もし間違ったまま部品を差し替えると予備の石まで飛ばしてしまうかもしれません。


音が極端に小さい場合

スクリーングリッドの配線を忘れている、あるいはハンダ付け不良など

以下工事中



山田

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