■3号機 クッキー缶(ニセモノ)制作費1万円ちょっと、出力推定2W程度ながら、高級アンプに匹敵する音質(当社比)。チープでキッチュなデザインと実力とのギャップが、あなたの心に灯を点す。 |
3号機はクッキー缶アンプの作者宇多さんに敬意を表して「クッキー缶(ニセモノ)」と名付けました。茶箪笥や床の間にもよくマッチします。そういうことにしといてください。お茶の時間にどうぞ。
問題は開口部が小さいことと、材質の弱さでした。缶の内部にはかなりのスペースがありますが、本体側(缶の身のほう)に回路を置くと後々メンテナンスができなくなります。といってトランス類を上に置くとそのまま潰れてしまいそうです。そこで本体側を電源部とし電源トランスは本体の底部に固定し、アンプの回路は蓋の裏側に収めました。電源トランスがアンプ回路の向きに盛大に漏洩磁束をばらまいてしまいそうな大胆な配置です。
撮影のため、蓋の部分を「竹串」で支えています。
出力トランスを2段重ねにして蓋に釣り下げると、頭がちょうど缶の底部に達し、これが柱のようになって弱い筐体を補強します。蓋を閉めると表に出ているのは真空管と端子類だけというすっきりとした外観となりました。正面からの写真で奥の方に二段重ねトランスが見えますか。
これを後ろから見るとこんな感じ。 出力トランスは蓋の縁ぎりぎりに固定しています(エポキシパテで下駄を作ってあります)。
しかもお恥ずかしいことに上付きのソケットを下から着けるものと思いこんで、大きな穴を開けてしまいました。ネジ穴が取付け穴のすぐとなりになってしまったので、管をソケットに挿入するとき力を入れすぎるとすぐに壊れそうです。ただでさえ弱いシャーシなのに。
回路はほとんど宇多さんのクッキー缶の敷き写しです。ただしシャーシに余裕がなかったので電源部のコンデンサは200μFが3つだけ。初心者のくせに回路図を描かずに組むというナマイキな癖がついてしまい、この回路図もあとで思い出しながら描いたものです。まだ未完成ですが、およその感じはつかんでいただけると思います。電源部(下の部分)は缶の身に、アンプ部は缶の蓋に組み込んでいます。
もともと機器をコンパクトに作るための複合管ですから、管そのものの見てくれがうんぬんされることはなかったのではないかと思います。でもこの管は明らかに見られることを意識して作られています。6BM8の新しい夜明けを感じさせます。
このワーフデールのスピーカー、どんなインテリアともマッチしない斬新なデザインですので、このアンプとは最強の組み合わせです。取り扱っているのは名古屋大須の「多田オーディオ」と大阪の一店(店名不明)だけだそうです。ドローンコーンが付いてて結構パワーがいりそうにも見えますが、このセットで小ぢんまりとしたいい音が出ます。どうもわたしにはこの音が性にあっているようで、帰宅すると真っ先に電源を入れたくなるのはこのアンプです。