■2号機 Sun Audio SV-6V6SE改

これも一見すると普通のビーム管シングル。しかし中身はハイブリッド。白鳥は優雅に見えるが......できれば水の下は見せたくない。
 

 さてさて、わたしがはじめて作った真空管アンプはTU-870ですが、これをきっかけに回路に興味を持ち、いろいろと情報を集めてみました。
 
集めれば集めるほど、あれはおもちゃに過ぎないのだという思いが強くなっていきました。とにかく「おもちゃ」から脱却したい一心で次の一台をあれこれ考えてみました。しかしいきなり数10万円のキットや完成品が買えるわけがない。それで一応「オーディオ」と言える機械をと思って買ったのがサン・オーディオのSV-6V6SEです。初心者が陥りがちなコースですね。
 
 このアンプは初段が双3極管6N7GTのパラ、出力部は自己バイアスの5極管接続というシンプルなものです。カタログにはタムラ特注の「コストリダクションタイプ」(ものは言いようですな)を使用と書いてあります。3結にすると力不足、ULにしようにもSGタップがないというわけで、小改造のレベルでは球替えくらいしか楽しみがありません。管球オーディオフェアで2本2000円で買った刻印なしの350B(たぶん中国製)に付け替えて見た目はさらに立派になっていました。

 なにもワカランうちはいいものです。重くて武骨な真空管アンプはそれなりの風格がありました。低音がボンボンしましたが、これはJBLの4312Bなどという「安物」のスピーカーのせい、ということにになっていました。次はもっといいスピーカーを、などと本気で思っていたのです。あぶないあぶない。

 しかし超3アンプ1号機はこの思い込みをあっさりとぶち壊してくれました。当然このアンプは部屋の隅に置き去りにされ、埃をかぶりそうになっていました。
しかし(わたしにとっては)大枚はたいて買ったアンプ。このまま放置しておくのもシャクにさわります。となれば、もはや超3改造以外にはあり得ないと思えてきました。幸いBMの会の宇多さんの膨大な動作例がありますし、350Bはほぼ6L6同等とも聞いていたので、ほとんど迷いはなありませんでした。

 今回は初段真空管で行くつもりでした。しかし通販で頼んだ初段管を待ちきれず、「ま、とりあえず実験ということで」と自分に言い聞かせながら手元にあったFETを初段に、もともと初段だった6N7GTを帰還管にして一晩で完成させてしまいました。

■350B超3

 まず回路図を示します。コンデンサが変なところでパラになっているのは、もともと付いてたやつをそのまま残したからです。帰還管のカソード抵抗は何も考えず8.2kΩに決定(根拠なし)。はじめ初段のカサ上げ用として出力段のカソード抵抗を500Ωにしてみましたが、これでは足りず1kΩに変更しました。

<Fig 350B回路図>

 シャーシ上にはなんの変更も加えていないので、見た目は改造前とおんなじです。しかし中身は全く別物になってしまいました。
 

■改造のみちすじ

 

 

 泣く泣くアーレンブラッドレーの高級抵抗を外します。今回は流用できませんでした。しばらくはパーツ箱で眠ってもらいます。直結なのでシズキのコンデンサーも必要ありません。次の出番(ホントにあるのか?)まで眠ってもらいます。
 
 


 

 ケース内には結構余裕があるので、電解コンデンサの置場所には苦労しないでしょう。出力段のカソード抵抗が大きいので、かなり発熱します。パスコンとしっかり離して、シャーシの天板にぴったりとくっつけ放熱を促します。ここでは5Wのセメント抵抗をパラにしています(その方が放熱が良さそうな気がしたから)。
 
 
 
 
 
 



 
 

 当初は実験だけしてまたバラす予定だったので、初段の基板は錫メッキ線と両面テープで固定されているだけです。恥ずかしいけどここもお見せしましょう。FETはばらつきが大きいと聞いていたので、すぐ差し替えられるようにIC用のソケットに差し込んであります。
 

 アースラインはほぼオリジナルのままですが、デカップリングのためリップルフィルターの出口のところで左右のチャンネルに分けています。

その他は特に問題ないでしょう。抵抗もごく普通のカーボン抵抗を使っています(これも「実験用」)。電源部のでっかいホーロー抵抗は300Ωのものに交換しました。

■試聴

 超3の力をさらに見せつけられる結果となりました。オリジナルの五極管接続では4312Bは低音のボンボンばかりが耳について、とても音楽を聴くという感じではありませんでした。しかし超3アンプで聞くと低音がびしっと締まるのです。

 音の広がりも全く別物になりました。部屋いっぱいに、音が充満するという感じです。とにかく聴いてて楽しい、音量を上げたくなるという宇多さんのコトバ通りです。おかげでこのアンプ、またわが家のメインアンプの座に返り咲くことになりました。

■出力管の変更

   6L6属などの球を使ったアンプでは、いろいろな出力管に差し換えるということも楽しみの1つです。

 ビーム管よりも5極管で超三の効果がより著明になると聞き、出力管をEL34(6CA7)に変更してみました。無改造で差し替えできました(計測値上も特に問題ありません)。使用したのは巷で話題になっている(らしい)National(中国製)。使いはじめはかなり音がガサつきましたが、しばらくするとおさまりました。厚味が増し歯切れの良い音になりましたが、友人のTANNOYのStirlingでは逆に350Bの方が締まって聴こえました。 

 このとき友人がSvetlanaのEL34とRCAの6CA7(太球)を持っていたので差し替えてみました。あんまり先入観なしで聴いたんですが、一聴してわかるほどはっきりと違いが出ました。RCAのはとてもいい。Svetlanaも結構いい。どちらも厚みがぐっと増して、広がりも出ます。太球は買えそうにないので、Svetlanaを買ってうちでも試してみようかなと思っています。

 そのほか、6L6WXT(SOVTEK)、KT−88(CR)などでも試してみました。はっきり言ってあんまり変わりません。宇多さんに教えを請うたところ、電圧をかけてやればさらに差は縮まるそうです。今は見た目のバランスのいい6L6WXTが納まっています。

 

 
 
 
 
 
 
 

■整流管の交換

 通販の安売りコーナーで中古の5AR4WGAというのを見つけました。安かったので他の球を注文するついでに購入し、届いた球を見てびっくり。ご存知ない方のために写真をお見せしましょう。

変な形の白ベースに角張った頭。おまけにデカい。しかしオリジナル(中国製5AR4)と交換すると何となく音に無理がなくなったような気がして、今も使っています。後になって聞いたのですが、この球は佐久間式アンプで多用されるのだそうですね。

 というわけで次回作は見た目重視。和室にマッチするデザインをめざしました(ホントか?)
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
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