小さな球 だけで 小さなアンプを 作る
2回も正月を越したのに一向に進まなかったプロジェクトが2004年暮れに一気に完成。。
使用したサブミニ管6021はデータシートによれば航空機などの過酷な条件下での使用を前提とした高信頼管で、なんでも高度60,000フィートでの使用にも耐えるとのこと。今回のプロジェクトで自家用ジェット機で真空管アンプの音を楽しむという夢に1歩近づいた。あとはジェット機だけである。


 サブミニ管というのはあまりなじみがないでしょうね。私もアンプを作るようになって初めて見ました。”球石混交”時代の産物かと思ったら、歴史は意外と古いらしいです。
 今回使用したのは秋葉原の某店で入手した双三極管6021。サブミニ管 → 小型の機器 → 省エネ電池管 とばかり思っていたら意外とそうでないやつも多く、中にはプレート損失4Wクラスの出力管もあるらしい。ここで使う6021も傍熱管でヒーター電力約2Wと省エネにはほど遠い。

これがサブミニチュア管6021です。鉛筆よりちょっと太いぐらい。


 出力トランス以外のアンプ回路をユニバーサル基板に組んでみました。
サブミニ管は直接ハンダ付けして使うことが多かったようですが、安く手に入れたとはいえ真空管はいまや貴重な人類の財産。差し替えが容易にできるようソケットを使用しました。写真は24ピンのゼロプレッシャーソケットです。実際に差し込んでみると球どうしが密着してしまいました。放熱の面で心配です。

回路は二段構成で初段が6021によるカソード結合式位相反転段、出力段は6021のパラプッシュプルです。バラックで組んだときにはうまくいってたので、調子に乗って左右チャンネルを基板に組んでしまいました。ところがその結果はめっちゃディストーション。球の位置を少しずらすと音が変わります。やはり球どうしが近すぎた模様。静電的に結合してポジティブフィードバックがかかっちゃったみたいです。

こんなふうに足を長くしてアルミ箔を巻くとちょっとまともな音になりますがそれでもまだひどく歪んでいます。どうもソケットが怪しい。ゼロプレッシャーソケットは結構幅の広い金属板で端子を挟み込む構造になっているようなので、けっこう静電容量がありそうです。こいつを外してみましょう。


ゼロプレッシャーソケットをどけて丸ピンソケットにピンをはんだ付けしてみました。結果は....同じでした。やはり球どうしの距離をもっと離すしかなさそうです。

球の間を空けられるようにアダプタは球ごとに独立させました。普通のIC用8ピン丸足ソケットです。基板側にも同じソケットを使います。この方法が一番コンパクトにまとまるのと、この球はピン配列が左右対称なので基板上の配線がやりやすいというメリットがあります。


こんな感じになりました。相当いい加減に並べましたがこれが今まででいちばんいいみたいです。6021は双三極管なので、左端の1本で初段増幅と位相反転、右の2本でパラプッシュプル出力段を構成しています。

こんなものをどうするかっていうと、答えはこう。

2年越しでやっと形になりました。いつもながら、作るのに夢中になるとついつい途中経過の写真を撮り忘れてしまう。今回も。で、これが上のバラックとどういう関係があるかっていうと、


これこれ。こんな感じで並んでおります。


裏面はこうなっております。基板は上の写真にあったものをそのまんま使用しています。新しく作るのめんどくさかったし。それにバラックで鳴らしたら意外といい音だったんで。ただし完成品では出力段は3パラプッシュにしています。パワーがほしかったというのもありますが、別の理由も。


カバーをこんなふうに跳ね上げまして、よく見てみましょう。


これが片チャンネル分。すべて6021を使用しています。一番右が初段で、差動増幅と位相反転
をかねています。その左の3本が出力段。
 んで左の4本は何かというと、整流管。それぞれをパラにつないでブリッジにしています。それでAC100Vを整流する仕掛け。これで左右16本になるのでヒータートランスも要らないというスグレモノ。3パラにした一番の理由が実はこれ。

なお本体シャーシはおなじみ「ダイソー」のアルミ製ペンケースを使用。よく見ると真空管の突き出てる穴の脇にハート型の穴なんか開いてたりします。カバーは同じくダイソーのCDラック。底板もダイソー製でしめて600円。左右の板だけは東急ハンズでチーク材を奮発。

2005年1月19日 10:49:05 PM