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Bluetooth真空管ラジオ
その6
RCA 54B2
眞・電池管ラジオ


以前これとかアレとか作った時、苦労して外部電源がいらないアンプを作ったもののソースとスピーカーはケーブルで
繋ぐ以外になかった。当時としてはそれが限界だったのだけど、ここにきてやっとすべてのケーブル類から開放された
真空管アンプが完成。

 もとのラジオはRCA1940年代に出したポータブルラジオ。ポケットに入れるのは無理だけど、持って出ても苦にならない程度にはコンパクト。



 

10年以上前にヤフオクで手に入れたジャンク。いずれレストアするつもりで放置してあった。何台かラジオの改造をしているうちに、昔の夢が蘇った。これなら全くの「線なしアンプ」ができるじゃんか!

右の図はオリジナルのオーナーズマニュアル。下はサービスマニュアル。ラジオ用の電池管は限られたパワーをムダにしないために全て直熱管。これら4本の管のフィラメントを1.5V電池1本でで点火する。ということはフィラメント(カソード)は基本的に等電位になってしまうわけで、バイアスを加えたりするのに色々工夫が必要になる。これはまだ簡単な方で、電池でも交流電源でも動作するなんていうのになると、もっとアクロバティックなことをしてるんだけどそれはまた機会があれば。

 現代ではリチウムイオン電池など小型で大容量・大出力の電池があるから、傍熱管で作っても構わないんだけど、ここはやはり先達に倣ってすべて直熱電置換で押すことにした。

 

10数年前に半バラにしたまんま箱に詰めてあったので、改造前の写真はなし。代わりに発売当時の広告写真を。

1940年台といえば、進駐軍御用達のBP-10が有名だけど、これはもう少し後の、ちょっと洗練されたデザインのパーソナルラジオ 。今見れば結構ごついけど、当時の米国の若者は男女を問わずこれを持ってお出かけしたらしい。しかし「休日のお供に」なんていうこの楽しげな広告が昭和23年ですから。戦争やって勝てるわけがないよね。

 

 

分解途中の写真がこれ。メッキの化粧板を外すと現れるこのフレームの下に部品が組み付けられている 。

 

 

 とりあえずこんな感じで組んでみた。 実は3A5は増幅率が15しかない低μ管なので前段1弾では全然ゲインが足りない。わかってたけどスペースの関係上これ以外の構成が思いつかず、押し通してしまった。組んでみたらやっぱりダメだったんだけどね。結局どうしたかは後述。

 

  

上のフレームの裏側、バリコンとスピーカーの左側に電池管が4本、このサブシャーシに並んでいる。さすがポータブル用途だけあって、持ち運んでも緩まないようにしっかりした黒ベークのソケットが付いている。2本のIFT(中間周波トランス)のうち1本がこの上に載っている。これを外して穴を広げ、ソケットをもう1個つける


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バリコンを外したところにトランスをつける。市販の管球
用プッシュプルトランスとしては最も小さいイチカワのトラ
ンスだが、こうして置いてみるとかなりデカい。とても入ら
なさそうにう見えるけど、結構余裕がある。さらにトランス
の下には下駄を履かせてあり、そこにロータリーエンコー
ダーも仕込んでいる。それくらいこのラジオは分厚いので
ある。

そしてこんなふうに並べる。もともとかなり窮屈な配置なんだが、3B4はラジオ用の電池管より若干太いので、ほぼくっつきあってるような感じになってしまう。真ん中には3A5を配置。IFTのケースをシールドケースに流用。
しかし前述のとおり3A5だけではゲインが足りないので、もう一段必要になった。オペアンプかFETで作れば簡単なんだけど、やっぱり純管球式にはこだわりたい。しかしスペースがない。苦肉の策が…、

 

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とりあえず組んだところ。電池の下にサブミニ三極管 5676。これのフィラメント用にもう一つDC-DCコンバーターも追加している。どこにも固定していないのでブラブラに浮いている。この状態でひとまず鳴ったんだが、しばらくするとものすごい高温。出力管が4本になったうえに全く熱の逃げ場がないので当たり前である、電池のすぐ下に出力管が4本も並んでいる。このままでは発火しかねない恐るべき配置である。

自然放熱は無理なので、いつもの強制空冷。

左右に吸気口、真空管の上面に排気口を開けファンを取り付ける。電池と管が接しては熱が逃げないのでアルミ板で導風板兼遮熱板を作る、

 

そんなこんなでひとまず完成。初段管はまだ浮いたままなので裏ぶたを開けるたびにヒヤヒヤする。スピーカーが非力なので苦肉の策で外部スピーカー端子だけは付けた。ハンドル下のスイッチで出力先を選べる仕組み。

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